2017.04.20

二日目、今、終わりました。
素晴らしかったです。ともかく素晴らしかった。
流れるようなコンサートいうと変ですけど、最初から最後まで自然体。肩の力どころか、どこにも無理な力が入ってない。何にも制約を感じさせない。浜田さん初め、演奏している全員の気持ちに一点の曇りもない。淀みなくゆったりと落ち着いていて、澄み切った何かを感じさせる。それでいて緩みがない。細かいところまで気を使っている。名人の域というんでしょうか。
そして、これが一番重要でもありますね。楽しそうでした。何しろ、町支さんのメンバー紹介も浜田さんが“君付け”ちゃん付け“で一人一人フォローするというリラックスぶりでした。アンコールの最後は脱力ダンスでしたからね。去年の広島の後から始まったという二つのプロジェクトの一つ、このバンドでの60年代洋楽R&Bのカバーアルバムの中から演奏していたことも、そんな楽しさにつながっていたようにも思えました。
音楽になりきるということはこういうことなんでしょうね。一体になっている。入り込んでいる。バラードは限りなく繊細で優しい。R&Bのような横に揺れる曲は、のびやかで大きく心地よい。ダンスビートはタイトで切れがあって、でもせわしくない。ロックンロールもそう。自由で解放的。身をゆだねているうちに時間が経っている。年齢を超えたポップミュージック。堪能してしまいました。背中を震わせて号泣されている方もいらっしゃいましたから、簡単にはくくれないでしょうけど“歓喜の夜”という感じでした。
 
実は、開演前に、一足早く会場入りしていた古村さんと清岡さんにこんな話を聞いてました。それは「チャリティーコンサートという意識はされますか」ということなんですね。きっと始まってしまえば、どんなコンサートでも同じ、という答えが返ってくるんだろうとは思ってましたけど、どこかにいつもと違う何かがあるような気がしたんですね。でも、答えは案の定、「ステージに上がればどんなコンサートも一緒、意識はしてません」でした。
清岡さんが、その後にこう言ったんですよ。
「聴いている人の方にはあるかもしれませんね」
ハッとしてしまいました。思い当りました。昨日の自分がそうだったと自覚したわけです。なぜ、ブログが滞ってしまったか。自分の意識の問題だったと気づかされてしまいました。コンサートの“意味”についてどう書こうか、ということに捕らわれてしまっていた。いつも聴いている歌詞が「違って聴こえた」というのも「聴こうとしていた」こともあったのかもしれません。「ON THE ROAD 2011」を連想したというのも、そういう意識があって聴いていたからかもしれないなと。昨日御覧になった方で「私の感想はそうじゃなかった」と思われた方も多いでしょうね。100人のお客さんがいれば100の感想があります。ぜひ「After show」に投稿してください。「書こう」と思って「見る」のではなく「見たもの」を書かなければいけない、今更の教訓でした。
今日はそういう感じにならなかった。「書こう」と思わなくても「書きたい」と思わせてくれる。最初から最後までそうでした。ステージがそうさせてくれたように思います。
 
昨日と今日、浜田さんは、“チャリティー”ということについて「今日は、世界中に数千万人という難民をサポートする組織、UNCHRなどの方たちをサポートするコンサートですが、あえてそのことを話そうとは思ってません。年代チェックでお分かりのように皆さん十分に大人ですし」と前置きして、こんな話をしてました。
音楽を平和に自由に楽しめる場所が、奇跡のような空間になっていること。それは、父や母、その前の世代の尊い犠牲の上にあること。この国だけでなく、隣の国や地球の反対側の国の犠牲の上にも成り立っていること。だから今、こうして音楽を楽しめる。そのことについての感謝の言葉を述べてから「ON THE ROAD」は今年が35年。「皆さんと一緒に楽しんでいきたい」と続けました。
自分がどういう時代に生きているか。世の中がどんな風に動いているか。大人であれば、ニュースも見るだろうし、ネットでも知ることが出来る。それを語ることよりも音楽に全精力を注ぎこむ。それが昨日と今日だったんではないでしょうか。
開演前に国連UNHCR協会の理事、事務局長、檜森隆伸さんが浜田さんに挨拶をされてました。終演後、コンサートの話の感想を聞きに行ったら、こんな話をしてくれました。
「感動しました。音楽も素晴らしいと思いましたが、ハートですね。職員のみなさんにいつもその話をしてるんですが、最後に大事なのはハート、志、それがあるかどうかで人間の価値決まる、と」
「心の奥底からこみ上げるものを感じまして、自然と涙ぐんでしまうものを感じました。浮ついたものじゃない。心に響くものだから何十年もこれだけの方が来られているんだと実感しました。素晴らしいコンサートでした。ありがとうございました」。
ここから何かが繋がる。
ここから何かが始まる。
そんな夜になれば、と改めて思いました。
日本のポップミュージックの良心、と昨日書きました。
それは、シンプルなものではないでしょうか。
いい音楽をいい音といい歌で届ける――。
日本に限らず、世界中のミュージシャンにとってそうなのだと思います。それに徹することが出来た時、音楽は“意味”を超える。そのことが何よりも“意味”を持つことになる。
それが今夜のライブだったのではないでしょうか。
いよいよ来週がファイナルです。
田家秀樹